ごあいさつ
診療内容/病気の解説
鼻アレルギーは、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが三大症状です。通年性アレルギー(ハウスダスト、ダニなど)と季節性アレルギー(花粉症)があります。花粉症の代表が、スギアレルギー(2~4月)ですが、その他ヒノキ(3~5月)、カモガヤ(5~7月)、ブタクサ・ヨモギ(8~10月)などいろいろな花粉症があります。
診断は、問診による症状と鼻粘膜の状態を観察することでほぼわかりますが、鼻汁好酸球数をはかったり、実際に血液中にアレルギー反応がでているかどうかを調べられる血清IgEをはかります。当院では、血液検査での診断をしていますが、どのような抗原に反応しているかを知ることはその対策としても非常に重要ですので、同時に39種類の抗原を調べられるView39アレルギー検査をおすすめしています。保険適応の検査で、3割負担で約5000円です。結果は1週間くらいで分かります。
治療は、抗ヒスタミン薬の投与が基本にはなりますが、数十種類の薬がありますので、患者さんの症状や希望に応じて処方しています。鼻づまりがある方には、抗ロイコトリエン薬(モンテルカスト)の併用をする場合もあります。点鼻ステロイド薬の併用も非常に有効です。ただし、点鼻といっても即効性を期待するものではなく、毎日点鼻しているとアレルギー反応が抑えられ症状が徐々にコントロールできるというものです。また、あまり薬を飲みたくない方や一日を通して均一な効き目がいいという方には抗ヒスタミン薬の貼り薬(アレサガテープ)もあります。
もっと根本的に治したいという方には、免疫治療があります。以前は、皮下注射での治療でしたが、数年前から舌下免疫治療(舌下に1分間くわえてゆっくり飲む)がダニアレルギーとスギアレルギーに関してはできるようになりました。治療効果は約80%で、開始1年目から一定の効果は期待できますが、毎日きちんと治療しなくてはならず、最低2年できれば3年治療が必要です。治療開始には、採血でのアレルギー検査で抗原の確定が必要で5歳以上が適応です。
薬を飲んでも症状がコントロールできない方には、手術治療もあります。外来での手術治療としてはレーザー治療が有名ですが、鼻粘膜を焼灼することでアレルギー反応を減らします。ほかに同様の治療として、高周波電気メス、超音波メス、化学薬品(トリクロル酢酸)による治療もありますが、どの治療も効果は半年から数年程度と言われています。さらにひどい鼻閉でお悩みの場合は、入院での内視鏡下下鼻甲介手術や鼻中隔矯正術をお勧めしています。ご希望の方は、横須賀共済病院やうわまち病院に紹介させていただきます。
鼻の中は「鼻腔」と「副鼻腔」とでできています。副鼻腔炎とは、鼻腔の周りにある副鼻腔が炎症を起こす病気です。副鼻腔は、顔の左右にそれぞれ4個ずつ、合計8個あり、その中には空気が入っていて、小さな穴で鼻腔とつながっています。
鼻腔と副鼻腔の図
副鼻腔炎には、「急性副鼻腔炎」と「慢性副鼻腔炎」とがあります。
急性副鼻腔炎は、かぜが長引くとなる病気ですが、はじめはたいていウイルス感染が原因で起こります。しかし、たいてい2,3日で細菌性の炎症に移行していきます。起炎菌は、インフルエンザ菌と肺炎球菌、そしてモレキセラカタラーリスです。一般的に軽症のうち(鼻水がサラサラ)は、抗菌薬なしで様子をみることが推奨されていますが、ネバネバしてきて頻回に鼻をかんだり、頬部が重かったり、頭痛があれば抗菌薬の投与が推奨されます。インフルエンザ菌や肺炎球菌は特に耐性菌が多く、ペニシリン系やセフェム系が効きにくくなっています。そのような場合は、ペニシリン系やセフェム系の高用量(普通の1.5倍位)やキノロン系が使われます。普通は、1か月程度で治ります。
一方、慢性副鼻腔炎とは、急性副鼻腔炎が長引いたり繰り返されたりして、その症状が3カ月以上続く副鼻腔炎のことを指します。治療は、まずは保存的治療です。去痰剤の一種であるムコダインとマクロライド系抗生剤の少量長期投与(2か月程度)を併用する場合が多いです。それでも症状が改善しなかったり、鼻腔ポリープで鼻閉があったり、XーPで副鼻腔の陰影が残存していれば手術治療をお勧めしています。手術は、内視鏡下鼻副鼻腔手術になります。希望により、横須賀共済病院やうわまち病院に紹介させていただきます。
近年話題になっている副鼻腔炎で、「好酸球性副鼻腔炎」というものがあります。好酸球とは、アレルギー性鼻炎や喘息などアレルギー反応に関わる白血球の一種です。アレルギーを持つ人がかかりやすく、効果の高い薬はステロイドのみですが、ステロイド治療を止めると元に戻ってしまう傾向が強いのが特徴です。近年、アレルギー性鼻炎患者の増加によって、好酸球性副鼻腔炎を発症する人が増えてきていますが、根治が難しく、現在も研究が続けられています。手術しても再発してきたり、ステロイドの内服をやめられないような人は、難病指定の適応になる場合があります。