急性中耳炎は、耳管(じかん)と呼ばれる耳と鼻をつなぐ管を通って、鼻やのどから中耳に細菌やウイルスが入り、急性の炎症が起きてしまう病気です。顕微鏡や内視鏡で鼓膜をみると、はじめは鼓膜の一部が少し発赤しているだけですが、次第に鼓膜全体が真っ赤になり、中耳に膿(うみ)がたまって激しく耳が痛んでしまう病気です。鼓膜が破れて膿が出てくると、痛みは治まってきます。
原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌などで、近年、抗生剤が効かない耐性菌(PRSP、BLNARなど)が増えています。
治療
①まず、原因である鼻とのどの治療を行います。鼻みずの吸引でバイ菌の量を減らし、抗生剤等の吸入(ネブライザー)で直接バイ菌をやっつけます。副作用の少ない治療でもありますので、頻回に治療する と症状も軽くなり、早く治りやすいです。
②中等度~重症の急性中耳炎には抗生剤を投与します。当院では、ガイドラインで推奨されているパセトシン、クラバモックス、メイアクトMS、オラペネム、オゼックスなどを使用しています。症状に応じ て、抗生剤を変更したり、増量したりします。とくに耐性菌を疑う場合や実際に培養で検出された場合は、通常の1.5倍以上の量を処方する場合もあります 。
小児の急性中耳炎は悪化しやすく、内耳炎、乳様突起炎、顔面神経麻痺などを起こすことがあります。 また、真珠腫性中耳炎など手術が必要な中耳炎が潜んでいる可能性があります。きちんと耳鼻咽喉科専門医の診断を受け、「もう大丈夫」と許可がでるまで治療をしましょう。